2021 年 20 巻 3 号 p. 265-271
中国中部自生のマタタビ属植物であるA. macrospermaの耐水性をキウイフルーツと比較するとともに,A. macrospermaのキウイフルーツの耐水性台木としての可能性を検討した.A. macrosperma[府中]と栽培種であるA. deliciosa ‘ヘイワード’ およびA. chinensis[FCM1]のポット植え2年生自根苗を14日間湛水条件に置いた.A. deliciosaおよびA. chinensisでは処理開始6日後に光合成速度が大きく低下し,その後葉枯れや落葉が発生して,処理開始9日後にはすべて落葉した.一方,A. macrospermaでは光合成の低下や葉の障害はみられなかった.次に,A. macrosperma[府中]台およびA. deliciosa実生台に接いだ3年生 ‘ヘイワード’ の鉢植え樹に14日間の湛水処理を行った.A. deliciosa実生台の ‘ヘイワード’ 樹では,湛水処理により葉枯れや落葉が多発し,すべての樹で処理終了7日後までに落葉した.これらの樹では,葉の光合成速度が処理開始翌日から低下し低く推移した.一方,A. macrosperma[府中]台の ‘ヘイワード’ では,処理終了7日後まで光合成速度は比較的高く維持され,葉枯れや落葉は認められなかった.処理開始10日後の根のTTC活性は,A. deliciosa実生台では著しく低下したが,A. macrosperma[府中]台では維持された.これらのことから,A. macrospermaは極めて高い耐水性を有しており,台木に用いた場合にも,その特性が穂木のキウイフルーツに明確に現れることが明らかとなった.