園芸学研究
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栽培管理・作型
‘古山ニューサマー’ の自然受粉条件下における果実品質と樹上摘果による無核・少核果生産の可能性
浜部 直哉馬場 明子前田 未野里種石 始弘久松 奨野田 勝二
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2021 年 20 巻 3 号 p. 279-285

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抄録

‘伊豆在来系ヒュウガナツ’ の枝変わり品種である ‘古山ニューサマー’ について,自然受粉条件下における果実品質と樹上摘果による無核・少核果生産の可能性を検討した.周囲に受粉樹となりうるカンキツ樹が植栽されている条件下における ‘古山ニューサマー’ の無核果率はおよそ4割であり,種子数と果実重,横径,縦径,果皮厚との間に正の,果肉歩合,糖度との間に負の相関が認められた.また,果頂部に突起を有する果実は有核果である場合が多いことが明らかになり,果頂部の突起の有無または横径を無核・少核果生産のための摘果の指標として利用できることが示唆された.果頂部の突起の有無または横径を指標として摘果を行った場合の,収穫果の種子数および無核果率について試算したところ,7月に果頂部の突起の有無を指標として摘果を行った場合,摘果を行わない場合に比べて収穫果の無核果率が高かった.また,果頂部の突起の有無は,摘果の基準を毎年決めなければならない横径に比べて,摘果の指標として利用しやすいと考えられた.以上の結果から,果頂部に突起を有する果実を摘果することで,有核果の一部を果実肥大期に除去でき,7月に摘果を行うことで収穫される果実に占める無核果の割合を高められることが明らかになった.

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