石垣園におけるウンシュウミカンのシールディング・マルチ栽培(S.マルチ)の有効性の検証と,石垣園特有のテラス面がフラットなケースにおける排水不良に対する技術改良を行った.岩崎(2022)のS.マルチの基本設計に準じて畝のある整地を行った区(S.マルチ整地区)と行わなかった区(S.マルチ非整地区)および慣行マルチ区を設け,土壌水分,樹体の乾燥ストレスおよび果実品質について調査した.その結果,S.マルチ整地区は,高品質果実生産に必要な乾燥ストレスであるψmax –1.0 MPaを十分に付与でき,糖度12°を上回る果実が生産された.一方,S.マルチ非整地区は,適度な乾燥ストレスレベルは付与できたものの,大雨や短時間強雨の増加により十分な乾燥ストレスが付与できない可能性が示唆された.次に,石垣園における排水改良として,樹と樹の間に簡易な溝を掘るS.マルチ簡易排水区を設定し,乾燥ストレスと果実品質を調査した結果,S.マルチ簡易排水区はS.マルチ整地区と同様の乾燥ストレスが付与され,糖度13°以上が生産された.以上のことから,石垣園におけるS.マルチは排水対策がポイントで,簡易排水方法を用いることで畝立てするよりも省力的に高品質果実を安定して生産できると示唆された.