抄録
植物成分を原料とした生分解性鉢で育苗されたトマト苗を用いて, 生分解性鉢を取り除かずに基肥量を変えた土壌に定植し, 定植後の生育および土壌中での鉢の分解程度について検討した. なお, 硬質ポリエチレン鉢で育苗し, 鉢を取り外して定植するポリ鉢区を対照とした. 定植後11日目までは, 生分解性鉢区はポリ鉢区よりも草丈および葉数の増加が劣っていたが, 定植後11日目以降は生分解性鉢多肥区とポリ鉢区の生育は同程度となった. 定植後26日目の各区における窒素, カリウムおよびリン含有率は, 生分解性パーム鉢のリン含有率を除いて生分解性標準区とポリ鉢区との間に差がなく, 生分解性多肥区はポリ鉢区より高かった. 定植後26日目に生分解性鉢が形状をとどめていたが, 鉢底穴や鉢がもろくなった部分から鉢外に根が伸張し新たな根系を形成していた. 以上のことから, 生分解性鉢区がポリ鉢区にくらべ初期生育が劣った原因は, 定植後, 鉢が分解されて根が鉢外に出るまでの間, 根域が制限され養分吸収が阻害されたことと考えられた.