抄録
ジベレリンの処理が,ユキノシタの栄養繁殖と開花に及ぼす影響について検討した.露地栽培では,ジベレリン50 mg・L−1の処理によって,対照区に比べ多くの幼植物が分化した.屋内の鉢栽培では,ジベレリン散布区で対照区より多くのランナーが分化し,50および200 mg・L−1散布区のランナーには細い腋芽が伸長した.ジベレリン200 mg・L−1散布区では,葉色が薄くなり,生育が抑制された.また,抽台と開花はジベレリン50および200 mg・L−1散布区で促進され,花穂の伸長は10および50 mg・L−1散布区で促進された.ジベレリン50 mg・L−1由来株のランナー先端部の挿し芽からの幼植物の分化は,ジベレリン50 mg・L−1散布区で対照区より多く得られたが,生育は遅かった.結果より,ユキノシタはジベレリン50 mg・L−1処理により,栄養繁殖と開花が促進されることが示された.