2009 年 8 巻 4 号 p. 399-405
ポットカーネーション42品種の花について,花持ち性,エチレン生成量,エチレン感受性を調査した.ポットカーネーション品種中に,花持ち性やエチレン生成量に関して大きな変異の存在することが明らかになった.‘ポラリス’,‘カミーユピンク’,‘シフォン’,‘バンビーノ’,‘ニーニャ’は平均花持ち日数9.7日以上と花持ち性に優れていた.これらの花持ち性の優れる品種では,老化時のエチレン生成量が極めて少なく,通常の品種で生じる花弁のインローリング,萎凋を示さずに,花弁の縁から褐変する症状で観賞価値を失った.花持ち性と老化時のエチレン生成量,自己触媒的エチレン生成量との間には有意な負の相関関係が認められた.また,エチレン感受性についても二倍体品種で大きな品種間差異のあることが明らかになったが,エチレン感受性と花持ち日数との間に有意な相関は認められず,エチレン低感受性品種の花持ち性が優れる傾向はみられなかった.倍数性と花持ち性,エチレン感受性との間に関連性は認められなかった.本研究により,ポットカーネーションにおける花持ち性の品種間差異が明らかになり,花持ち性の向上を目指した交雑育種の可能性が示された.