抄録
常緑性ツツジ遺伝資源の根系からみた評価を目的に,異なる土壌水分条件の圃場における各系統の根系分布と根長を定量的に測定した.強健な造園用品種の‘大紫’および‘白琉球’の根長密度は特に高く,深層部まで根系が発達していた.大半の系統で標準区に比べ湿潤区で根長密度が低かったが,川岸に自生するサツキ‘大盃’では湿潤区で根長密度が高く,特に0~5 cm層に根系が集中していた.以上のように系統間でみられた根系分布や土壌水分環境への適応の違いは各ツツジの多様な自生地土壌環境への適応性に由来するものと考えられる.