抄録
イチゴ炭疽病について,抵抗性評価対象の株から得た自殖実生を用い,菌接種後生存株率を評価指標とする後代検定による炭疽病抵抗性評価法の確立を試みた.炭疽病菌胞子懸濁液の接種時において苗齢が大きい区ほど菌接種後生存株率が大きくなる傾向が認められたが,2週齢以上の区では有意差はなかった.菌接種後生存株率の経日変化は,接種から20日後まで大きく,20日以上ではほとんどなくなった.これらの結果から,後代検定による炭疽病抵抗性評価法では,発芽2週間以上の実生に菌を接種し,菌接種20日以降で25~30日頃に生存株率を調査することが適していると判断された.自殖実生の菌接種後生存株率と慣行評価法による親品種の発病指数との間に高い相関を認め,この評価法の有効性を確認した.