園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
可視・近赤外分光法によるダイコンバーティシリウム黒点病症状の非破壊計測
小宮山 誠一相馬 ちひろ鳥越 昌隆五十嵐 正和
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2010 年 9 巻 2 号 p. 229-233

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抄録

ダイコンのバーティシリウム黒点病は外観での判別が困難であるため,選果後も一部が正常な出荷物に混入し,流通上の問題となる場合がある.そこで,我々は選果ライン上で,可視・近赤外分光法により本症状を非破壊計測する方法を検討した.可視・近赤外分光法による2次微分スペクトルは,発病指数に応じた明確な差が認められた.2次微分スペクトルと発病指数(0~3の4段階)からPLS回帰分析により検量線を作成し,これを別の試料に適用して精度を評価した.その結果,本法で推定した発病指数と実際の発病指数との間の相関はR = 0.958(0.1%水準で有意差あり),SEP = 0.299となり,高精度な推定が可能と判断された.推定発病指数の1を閾値として症状の有無を判定すると,実際の発病指数0(無症状)の試料は100%“症状なし”と判定され,指数1の試料は91%,指数2以上の試料は100%が“症状あり”と判定された.推定発病指数と正の相関が高かった2次微分スペクトルの波長帯は580~610 nm付近で,最も負の相関が高かった波長帯は550~560 nm付近であった.

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© 2010 園芸学会
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