園芸学研究
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栽培管理・作型
ファイトトロン内で測定したハイブッシュブルーベリーとラビットアイブルーベリーの光合成特性
亀有 直子堀内 尚美鈴木 栄小池 洋男荻原 勲
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2010 年 9 巻 4 号 p. 455-460

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抄録

光強度(0~2,000 μmol・m−2・s1)と温度(15~35℃)に着目し,ファイトトロン内で測定したハイブッシュ種‘Weymouth’とラビットアイ種‘Tifblue’の光合成特性を比較した.両品種の個葉の光合成速度は,温度が高いほど大きくなった.低温条件(15~20℃)における個葉の光合成速度は‘Weymouth’が‘Tifblue’に比べて大きかった.一方,高温条件(25~35℃)におけるそれは品種間で相違がなかったが,‘Weymouth’は‘Tifblue’に比べて蒸散速度が大きく,水利用効率が小さかった.また,ハイブッシュ種‘Blueray’を用い,高温条件で行った実験でも同様の結果が得られた.これらの特性は,ハイブッシュ種が冷涼な気候に適していること,ラビットアイ種が高温,乾燥条件に対する耐性を持つことに関係していると考えられた.また,35℃の高温および1,000 μmol・m2・s1以上の光強度の条件で測定した水利用効率の大小は,耐暑性がある個体の選抜の一指標となると考えられた.強光,高温条件では蒸散速度が大きくなるため,夏季の高温時には水分の損失を防ぐために光飽和に達する光強度である1,000 μmol・m2・s1を目安に遮光を行うことが有効であることが示唆された.

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© 2010 園芸学会
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