爬虫両棲類学雑誌
Online ISSN : 1883-4493
Print ISSN : 0285-3191
クサガメChinemys reevesiiの個体群構造および雄における黒化現象について
矢部 隆
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1994 年 15 巻 4 号 p. 131-137

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抄録

岐阜県南西部の隣接した2つの池において,クサガメChinemys reevesiiの1個体群の標識再捕調査を行ない,年齢構成・体の大きさ・黒化個体の出現の仕方を調べた.1986年から1987年にかけて捕獲・標識できた個体は111頭で,雄42頭,雌68頭,性別が判定できない若い個体が1頭であった.年齢構成においては高齢な雌の方が高齢な雄よりも多い傾向を示したので,雌の方が雄よりも死亡率が低く寿命も長いと推定された.雌は甲長200mm以上になるが,雄はおおむね甲長160mmまでにしかならず,雌の方が雄よりも大きく成長していた.黒化は成長にしたがって生じるが,黒化個体はすべて雄であった.黒化しかけの雄は6-9歳で,平均甲長が140.3mmであった.完全に黒化した雄は年齢が6歳以上で,甲長が120mm以上であり,平均甲長が149.6mmであった.

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