1997 年 17 巻 1 号 p. 1-10
ホクリクサンショウウオ,トウホクサンショウウオ,エゾサンショウウオ,ベッコウサンショウウオ精子の形と大きさを光顕と走査電顕で調べた.精子の形はすでに記載したサンショウウオ科の種と基本的に同じであり,精子の長さもその範囲内に収まる.九州のカスミサンショウウオとブチサンショウウオには精子長に著しい地理的変異があるが,アカハライモリの集団間の差はごくわずかであった.すべての種で精子長は個体ごとに異なっていたが,個体変異の幅は地理的変異の幅に比べて狭かった.精子長の種間変異は体長,精巣長,卵数,卵径との相関を示さない.精子の大きさはゲノムサイズ,繁殖様式,系統関係などに制約されると思われるが,その関係は他の脊椎動物や昆虫に比べて,はるかに複雑であるようにみえる.
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