2019 年 1 巻 p. 68-77
本研究では,KSU子育て支援室を利用する親子を対象にした子育て講座「七夕飾りを通して知る子どもの造形遊び」での取り組みについて,実施内容及び参加した親を対象に実施したアンケート調査から,その成果と課題を明らかにし,今後のICTを活用した造形表現分野における子育て支援のあり方について検討した。
参加した乳児の様子から,幅広い年齢での「造形遊び」の可能性を見出すことができたと考える。また,アンケート結果から,乳児のみならず,親自身が造形表現の楽しさ・喜びを感じていたことが分かった。本講座の内容に対する親の満足度は低くないと思われ,ICT活用の効果という点でも,おおむね効果があったと言える。しかしながら,本講座の目標達成が十分とは言えないことから,引き続き子育て講座を行っていくことが,造形表現知識の習得,親の子どもに対する理解などの子育て支援につながっていくと考えられる。さらに,父親にも子育て講座への参加を呼びかけていくこと,多くの子育てをしている親たちへ調査対象範囲を広げていく必要があることが課題として挙げられた。