人間科学
Online ISSN : 2434-4753
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スポーツ健康科学科
研究論文
  • 村谷 博美, 濱田 やえみ, 江田 佳子, 楠林 あかね, 太田 美枝子, 辻 利恵, 幸地 英理子, 木村 奈都美, 米田 美佳, 道本 ...
    2024 年 6 巻 p. 1-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/26
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    大学入学時の健康意識や生活習慣,健康度の自己評価を,コロナ禍を経験せずに入学した学生2,653人とその最中に入学した学生5,154人で比べた。次に,3,4年次生の生活習慣と健康度の自己評価を,コロナ禍を経験していない学生4,187人とコロナ禍を経験した学生4,013人で比べた。最後に,3,4年次の精神的な健康度の自己評価あるいは入学時からの変化を目的変数として,ロジスティック回帰分析を行った。コロナ禍最中の新入生は男女とも健康意識が高く,運動と無縁の学生が減っていた。女性では身体的健康度の自己評価がより良かった。コロナ禍を経験した3,4年次生は,男女とも運動習慣を有する頻度が高く,女性では朝食をより高頻度に摂取していた。精神的な健康度の自己評価が良いことや,その改善と関連するのは3,4年次の朝食摂取の習慣で,コロナ禍を経験すると精神的な健康度は悪化していた。朝食摂取の習慣が大切である。

  • 楠林 あかね, 江田 佳子, 濱田 やえみ, 太田 美枝子, 辻 利恵, 幸地 英理子, 木村 奈都美, 米田 美佳, 道本 典明, 村谷 ...
    2024 年 6 巻 p. 13-21
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/26
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    2016年から2023年までの大学新入生(女 6,356人,男 14,446人)のBMIを分析した。BMI区分は日本肥満学会に準拠して,やせ,普通,肥満に大別し,さらに普通体重をBMI 18.5~22.0未満の群と22.0~25.0未満の群に分けた。男女とも実際のBMIが低ければ肥えたいと思い,高ければやせたいと思っていた。BMI 18.5未満を丁度よいと云う女子学生が全体の18.9%,男子学生が4.1%いた。男女ともその半数以上で実際のBMIが18.5未満であった。実際のBMIが18.5未満で,より低いBMIを丁度よいと云う女子学生が190人,男子学生が83人いたが,BMI以外の特徴は明らかでなかった。コロナ禍以前(2016~2019年)と最中(2020~2023年)を比べると,実際のBMIは,コロナ禍最中の方がより低い方に分布した。生活や健康意識の変化がBMIに反映された可能性がある。

臨床心理学科
研究論文
  • 森川 友子, 永野 浩二, 平井 達也, 福盛 英明, 福田 尚法
    2024 年 6 巻 p. 22-37
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/26
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    本研究では公共職業安定所の熟練キャリアカウンセラー(以下,CC)が,就職上の課題があると見受けられる求職者(以下,CL)に対してどのようなプロセスで支援をしているのか,仮説生成することを目的とした。公共職業安定所内で評判が良い支援歴6年以上のCC8名に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下,M-GTA)により分析した。その結果42個の概念,9個のカテゴリが生成された。公共職業安定所の熟練CCは,CLの職務経験に応じて【義務感や怖れを意欲に変える就活準備】や,【徐々に本音に向き合い本音から糧を得る就活準備】を行い,人間関係向上のヒントの提供,主体性や本来感の醸成等,社会人力を育てるような育成的アプローチをとっていくことが示唆された。また,熟練CCの特徴として,徹底したCL受容や,先々に生きるような学びの重視,具体的方策への落とし込みが示唆された。

  • 小林 純子, 幸地 英理子
    2024 年 6 巻 p. 38-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/26
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    本論文では,九州産業大学学生相談室における34年間の学生相談活動を整理し,学生相談機能が構築されてきたプロセスを検討する。学生相談室の支援効果を高める要因の一端を明らかにすることを目的とする。学生相談室の構築プロセスを,人的配置と支援体制の変遷の観点から3期に分けた。第1期は「保健室と非常勤カウンセラーを中心とした相談体制」,第2期は「常勤カウンセラーの配置と,学生支援体制の整備」,第3期は「障がい学生支援の展開と,基礎教育センターにおける相談活動の拡充」として示し,また,別に「コロナ禍の学生支援」について示した。学生相談室の来談件数は,コロナ禍を境にさらに増加している。支援システムの整備を推進する上で欠かせない要因は,支援の実践を積み重ねながら不足事項を浮き上がらせ,繰り返し整備しながら段階を追って拡充していくことである。そして適切な人的配置,カウンセラーと教職員との連携・協働は,支援効果を保つ上で基本的かつ重要な要因である。

実践報告
  • 中村 昌広, 樋渡 孝徳, 村山 正治, 村山 尚子, 北田 朋子, 中山 幸輝, 藤元 慎太郎
    2024 年 6 巻 p. 48-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/26
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    カール・ロジャーズが早い時期にその意義を提唱し以来パーソンセンタード・アプローチ(PCA)注1)の中で重視されてきた「共感」について,近年様々な分野で取り上げられるようになっている。本報告は共感実践が抱える問題に対して7名の執筆者がロジャーズの文献による理論検討,調査研究,臨床報告に基づいて検討を行ったものである。ロジャーズの共感論を読み込むと,共感の2つの側面(「状態」と「過程」)の間を彼が揺れ動いていることがわかる。近年,「状態」の側面に関して共感の有効性のエビデンスが蓄積されている。このことには大きな意義があるが,臨床の場でさらに重要なのは「過程」の側面,すなわち「共感を生きる」ことであり,そうした体験を共有することであると考えられる。本稿では4つの具体的な場面における「共感を生きる」体験を取り上げて記述する。

論文審査・編集委員
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