人間福祉学会誌
Online ISSN : 2435-9254
Print ISSN : 1346-5821
認知症利用者の地域密着型機能拡充の可能性とその意義
-S市内合同運動行事構築の成果を通して-
野村 敬子
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2020 年 19 巻 2 号 p. 43-49

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抄録
S市の高齢福祉課や地域住民の協力の下で、市内全認知症グループホームの入居者を対象に、地域合同運動行事を実施して5年目になる。認知症高齢者は認知症でない人に比べて8倍転倒しやすいと報告1) されていることから、送迎を伴う集団運動会には大きな不測のリスクを伴う。しかしながら、施設参加率は5年連続6割を超える。参加利用者のADLは、自力歩行可能者78.8%、オムツ交換要介助者が約80%、自立度が上がった者が12.8%、参加不能者及び自立度下降者が37.2%と要介護状態の重度化傾向が見られる中、当日の条件により参加率の変動はあるものの、地域合同運動行事への期待値が高く、地域住民に対して「災害発生時の緊急体制を求める」が5段階評価の4.7で最も高かった。年に一度、重度化した認知症利用者を会場へ搬送することで、避難訓練の代替機能としていることも分かった。市内合同運動行事に参加する意義として、不測のリスクを伴いながらも、認知症の理解や見守り支援の必要性を伝える上でも地域住民との交流機会は意義深いといえる。そして、地域連携緊急時協力体制を求めていることが明らかになり、地域密着型としての機能拡充の可能性が見えた。
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