抄録
一義的な対応を厳しく求められる医療系大学生の障がい者理解について検討した.具体的には,障がい者に初
めて出会った時に障がい者と分かった理由を求め,次に小・中学生を対象に障がい者について説明する場合の「ほん
ね」と「たてまえ」の使い分けについて検討した.その結果,初めて障がい者に出会ったときに障がい者と分かった
理由としては,視覚で得られたり視覚や聴覚で得られた理由で示されるような外見的な説明であった.しかし,小・
中学生に対して障がい者について説明する場合,外見的説明事項よりも概念的説明事項を選ぶ割合が多かった.また,
障がい者について「ほんね」で説明する場合は外見的説明事項を選ぶ割合が多かった.「たてまえ」で説明する場合
は概念的説明事項を選ぶ割合が多かった.以上から,一義的な対応が求められている医療系大学生は,障がい者に対
する理解も一義的であると思われたが,予想に反して一義的ではなかった.