抄録
本研究の目的は、就労継続支援B型事業所の利用者の語りの分析を通して、同利用者の QWL 向上の促進要因
を明らかにすることである。本研究では、事業所の利用者に対してインタビュー調査を実施し、逐語データに対して
Mayring の質的内容分析を実施した。分析の結果、利用者の QWL 向上の促進要因として 5 項目のコード化単位が生
成され、さらにコード化単位の分類から【職場における金銭獲得と貯金継続の重要性】、【職員間の連携・環境整備の
重要性】、【本人の仕事へのモチベーション維持の重要性】の 3 つのカテゴリーを抽出した。本研究結果から、利用者
の就労促進要因として、(1)金銭獲得だけでなく、貯金継続、(2)グループの活用、(3)ピアサポートの存在、(4)プラ
イベートの充実、(5)規則正しい生活が就労継続の促進要因となっていることがうかがえ、これにより QWL と QOL
の相互補完性の一端を明らかにした。