抄録
本研究の目的は、ボクサーの心身の健康へのサポート体制構築のための基礎的資料とするために、心理社会的実態を明らかにすることを目的とした。Nボクシングジムのボクサー60名を対象として、性別、年齢、ボクシングに取り込む上での意識等及び不安感についての心理調査(STAI)を行った。ボクサーは、16歳頃からボクシングを始め、プロにならない場合25歳を過ぎるとやめる傾向であった。プロの15名全てが未婚、アマチュアでは、4分の1が既婚であった。プロボクサーは、ボクシング以外の仕事を週5日6時間ぐらいしていた。日本戦のファイトマネーは、スポンサーがつきにくく、試合1回の報酬が少ない。これらのことから、ボクサーの経済的困難さが伺える。トレーニング内容・時間・目標・日々の取組み・意識については、プロはアマチュアより、明確な目標をたて、それを達成するために練習に取り組んでいた。STAIの結果については、状態不安では、プロ、アマチュアの男子は、不安が高く、アマチュアの女子は普通であった。特性不安では、3者ともに不安が高かった。ボクサーは不安を持ちやすい状態にあることがわかったが、不安を持ちやすい者がボクシングというスポーツを選択する可能性も否定できない。