日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
老人クラブの高齢者における世話役の特性
小玉 敏江森 千鶴佐藤 みつ子
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2009 年 15 巻 2 号 p. 1-11

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抄録
老人クラブで役員およびプログラムリーダーを務める「世話役」は、どのような特性を備えた者なのかを明らかにするために、東京都の老人クラブの高齢者を対象に質問紙調査を行った。得られた回答の内、分析対象509人を(1)世話役群と(2)一般参加群とに2分し、2群間で比較検討した。健康状態や活動状況に関するカテゴリー変数についてクロス表による分析を行い、次いで、有意差のあった変数による名義多項回帰分析を行った。その結果、世話役の特性として、属性としては「男性」であることが優位であり、健康状態においては年齢の影響を加味すると特筆すべき特性が無いことがわかった 。活動状況では、老人クラブ以外の活動が多いこと、活動への参加頻度が高いこと、さらに、参加頻度と相関する友人数をもつことが世話役であることと関係した。加えて、世話役は、老人クラブ以外の活動でも役員やプログラムリーダーとしての経験をもち、多様な活動に参加し、受身ではなく積極的な参加をしていた。高齢者の活動状況に変化が生じる契機は80歳代にあると考えられ、その「80歳以上」は一般参加者である確率が高かった。一般参加者では、「誘われて」の参加が多いことから、世話役の役割により地域の高齢者間の支え合いが進められるとの示唆が得られた。
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© 2009 日本保健福祉学会
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