日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
15 巻, 2 号
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  • 小玉 敏江, 森 千鶴, 佐藤 みつ子
    原稿種別: 本文
    2009 年15 巻2 号 p. 1-11
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    老人クラブで役員およびプログラムリーダーを務める「世話役」は、どのような特性を備えた者なのかを明らかにするために、東京都の老人クラブの高齢者を対象に質問紙調査を行った。得られた回答の内、分析対象509人を(1)世話役群と(2)一般参加群とに2分し、2群間で比較検討した。健康状態や活動状況に関するカテゴリー変数についてクロス表による分析を行い、次いで、有意差のあった変数による名義多項回帰分析を行った。その結果、世話役の特性として、属性としては「男性」であることが優位であり、健康状態においては年齢の影響を加味すると特筆すべき特性が無いことがわかった 。活動状況では、老人クラブ以外の活動が多いこと、活動への参加頻度が高いこと、さらに、参加頻度と相関する友人数をもつことが世話役であることと関係した。加えて、世話役は、老人クラブ以外の活動でも役員やプログラムリーダーとしての経験をもち、多様な活動に参加し、受身ではなく積極的な参加をしていた。高齢者の活動状況に変化が生じる契機は80歳代にあると考えられ、その「80歳以上」は一般参加者である確率が高かった。一般参加者では、「誘われて」の参加が多いことから、世話役の役割により地域の高齢者間の支え合いが進められるとの示唆が得られた。
  • 平井 さよ子, 賀沢 弥貴, 上田 智子, 鈴木 英子, 李 燕萍, 石 貞仙, 佐藤 千史
    原稿種別: 本文
    2009 年15 巻2 号 p. 13-20
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、中国の臨床看護職の専門職的自律性尺度the Nursing Activity Scale(NAS)の中国語版の信頼性・妥当性の検証をすることである。調査は中国の看護職640名を対象に、2004年8月と9月にNAS(1992年)を翻訳したNAS(1992年)中国語版の調査を実施した結果、テスト-再テスト法の結果Pearsonの相関係数は0.90、折半法でのPearsonの相関係数1回目0.77、2回目0.82と高い値であった。Cronbachのα係数は、1回目0.87、2回目0.90と高い信頼性が認められた。妥当性では、基準関連妥当性としてHead Nurse Scale(HNS)と職務満足度との相関が得られ、構成的妥当性でもNAS総得点と全項目間に有意差があり相関関係が認められた。さらに、本研究にてはじめてNASの因子分析もおこなった。その結果、5因子が抽出され「看護専門職としての新たな活動の開始」「看護専門職としての活動の展開」「看護専門職意識に基づく判断」「看護専門職としての責任」「看護専門職としての活動の改善」と命名した。以上の結果から中国語版NAS(1992年)の信頼性・妥当性は確保され、臨床看護職の専門職的自律性を測定する尺度として使用基準をみたしていることが明らかになった。
  • 金 彦志, 丁 海龍, 韓 昌完, 高山 忠雄
    原稿種別: 本文
    2009 年15 巻2 号 p. 21-31
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
    韓国では、高齢化が急速に進む中、2008年7月に老人長期療養保険(介護保険)が導入されるなど、高齢者福祉サービス政策が新たに展開されている。そこで本研究では、一般高齢者を対象に一日の生活を中心とした日常生活現状、健康状態を把握し、さらに高齢者に対する在宅福祉サービスの実態や問題点を明らかにすることを目的とした。調査結果、独居や夫婦世帯が増加していること、殆どの高齢者が疾患を抱えていること、食事、睡眠、運動が健康や生活充実感などと関係あること、また、在宅福祉サービス利用及びニーズに関しては、サービスについての情報不足や伝達体制の問題が明らかになった。今後、介護保険制度が定着するためには、地域高齢者の個別ニーズに基づく質の高い支援サービスプログラムの開発に関する検討が必要とされる。また、これらの結果は、介護保険導入後、介護度維持や予防対策として必要になる、高齢者のニーズにあった在宅支援サービスプログラム開発においての資料として提供できると考えられる。
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