日本保健福祉学会誌
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アウトリーチサービス利用者のニーズから見た心理職の可能性の検討
仲 沙織
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2016 年 23 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

目的:アウトリーチサービスの充実、発展が急務となっている我が国において、その利用者のニーズを把握することは、今後の質の高い支援提供のために重要である。また、他職種からの心理職参入の期待も大きくなっている。本調査では、利用者のニーズを明らかにし、その中から心理職に対する支援ニーズを探ることを目的とする。

方法:看護師、精神保健福祉士兼臨床心理士等が在籍する訪問看護ステーション/多職種アウトリーチチームXにおける利用者68名のうち、研究に同意の得られた19名を対象とした。2015年10月から12月の期間で、研究者が担当スタッフに同行し、通常の支援場所(対象者の自宅や作業所、飲食店等)で、①現在の支援内容について、②今後希望する支援内容について、アンケート調査を実施した。その結果および先行研究をもとに、量的結果を解釈し、アウトリーチサービス利用者のニーズを抽出した。

結果:「話し相手になってくれる」という項目が最も高いニーズを示し、次いで「今後の生活について一緒に考えてくれる」、「血圧や体温を測定して体調の管理をしてくれる」、「心理検査をして、病気や心の状態を考えてくれる」という項目が挙がった。掃除や洗濯といった日常生活支援はニーズが低かった。

結論:アウトリーチサービス利用者は、医療的支援・福祉的支援・心理的支援の幅広い支援ニーズを持っている。特に「話し相手になってくれる」といった、直接的な人と人との関わりを求めている現状が明らかとなり、心理職の支援ニーズを見出すことができた。自宅で「心理検査をして、病気や心の状態を考えてくれる」という項目や、「人とのコミュニケーションの取り方の練習をしてくれる」という項目のニーズも高く、この部分でも心理職の支援ニーズを見出すことができた。

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