2016 年 23 巻 1 号 p. 53-63
目的:ろう者の地震発生時の情報入手状況と日頃の防災情報入手に関する実態調査から、ろう者への災害発生時の情報提供方法を検討する。
方法:ろう者61 名を対象に芸予地震時の情報入手先、最も役立った情報入手先、防災対策等の回答を得た。分析は聴者と同居有無別で地震時直後情報入手先、最も役立った情報入手先、防災対策の相違をχ2、Fisher 検定で行った。地震時最も役立った情報入手先は聴者と同居有無別に調整済残差分析を用いて観測度数と期待度数の有意差を求めた。
結果:地震直後の聴者と同居あり群の情報入手は家族親戚41.3%が最も多く、聴者と同居なし群の情報入手はろうあ協会会員40.7%が最も多く有意差を認めた(p<0.05)。災害時最も役立った聴者と同居なし群の情報入手は電信(電話,FAX,インターネット,TV)50.0%が最も多く、聴者と同居有無と災害時役立った情報の入手先との間で有意差を認めた(χ2(4)=12.24,p=0.012)。防災対策は聴者と同居なし群が同居あり群より十分行われていない傾向を認めた。結論:震災時情報の役立った入手先は聴者との同居有無別で異なることから、ろう者への防災対策は同居者の特性を考慮した対応が必要である。