2017 年 24 巻 1 号 p. 5-11
目的:現行制度では、腹部肥満があっても心血管疾患関連リスクを保有しない者や腹部肥満がなくても心血管疾患関連リスクを保有する者が「情報提供」群となり、特定保健指導の対象から除外される。それにより、保健指導や受診勧奨等の、何らかの介入が必要である者が「情報提供」群に混在していることが問題であると考える。そこで、Normal群(以下、N群)、心血管疾患関連リスクを1つでも有する者をRisk群(以下、R群)、現行の「動機付け支援」と「積極的支援」を合わせてSupport群(以下、S群)の3群に再構成して、心血管疾患関連リスクの保有による生活習慣の特徴を明らかにすることを目的とした。
方法:2008年度の単一施設の人間ドック男性受診者のうち、特定保健指導区分に分類された対象を3群にわけ、N群と比較したR群、S群の生活習慣の特徴を分析した。
結果:R群はN群と比較して、心血管疾患関連リスクの危険因子である「年齢」「早食いをする」「濃い味付けを好む」「麺類や丼物をよく食べる」や、心血管疾患関連リスクの予防因子である「散歩や運動をしている」「朝食を食べる」「果物類を食べる」に関連がみられた。
結論:情報提供群の心血管疾患関連リスクを持つ者に対し、食習慣の問診項目や運動習慣の項目にも注目し、予防に向けた指導に繋ぐことが必要と考える。