2017 年 24 巻 1 号 p. 13-21
目的:養育者の生活リズムの乱れが子どもの睡眠を不規則にし、子どもの成長発達に影響するとした報告が多数ある。一方、子どもの睡眠不規則と、養育者のストレスの関連が指摘されている。そこで本研究では、就学前児の睡眠リズムと就労する養育者のストレスとの関連を明らかにすることを目的とした。
方法:全国の認可保育所21箇所を利用する養育者に、2014年4月~2015年3月に質問紙調査を実施した。5〜6歳児をもつ養育者593人のうち404人から回答を得た。就労する養育者のストレスを目的変数、子どもの睡眠リズム、仕事負担感、育児の自信喪失感、子どもの性別、家族構成を説明変数としてカイ二乗検定を行った。家族構成は2つのモデルで検討した。さらに多重ロジスティック回帰分析により、各項目のオッズ比を算出した。
結果:調査項目に欠損のない就労する母親350人を分析対象とした。多重ロジスティック回帰分析の結果、モデル1では、就労する養育者のストレス高群は低群と比較して、育児の自信喪失感3.10倍、仕事負担感2.34倍、子どもの睡眠リズム1.97倍と、有意に高かった。モデル2では、育児の自信喪失感3.12倍、家族構成2.39倍、仕事負担感2.33倍子どもの睡眠リズム1.93倍と、有意に高かった。
結論:子どもの睡眠リズムと就労する養育者のストレスの関連を明らかにした。子どもの睡眠習慣の確立は、子どもの健やかな成長発達のみならず、養育者のストレスマネジメントの観点からも重要である可能性が示唆された。