日本保健福祉学会誌
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高齢者を対象とするふれあいサロンにおける保健補導員の果たしている役割と活動体制に関する研究
〜長野県須坂市の保健補導員活動をとおして〜
叶 寧
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2021 年 27 巻 2 号 p. 1-15

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抄録

目的:本研究の目的は、ふれあいサロンの担い手確保の方策を検討する基礎資料とするために、高齢者を対象とするふれあいサロンにおける保健補導員の果たしている役割と活動体制を明らかにすることである。

方法:須坂市の12の地域福祉圏(以下、地区とする)のうちの10地区から各1名、合計10名の保健補導員を対象に、半構造化面接によるインタビュー調査を行った。質的帰納的分析方法を用いて、分析を行った。

結果:ふれあいサロンにおける保健補導員の果たしている役割に関しては、【健康情報の提供】、【健康知識の提供】、【健康に役立つ活動の実践】、【健康のための個別の支援】という4つのカテゴリーが抽出された。ふれあいサロンにおける保健補導員の活動体制に関しては、【保健補導員個人が持つ資源を活かした体制】、【OBの継続的な協力がある体制】、【当番等による柔軟な体制】、【任期交代制による半義務的な体制】、【組織のバックアップがある体制】という5つのカテゴリーが抽出された。

結論:ふれあいサロンにおいて保健補導員が果たしている役割について、結果で述べた4つがあると明らかになった。以上の役割を実践することで、ふれあいサロンの参加者の保健意識の一層の向上につながると考えられる。それと同時に、保健補導員が自身の果たしている役割を認識することで、活動における自己の有用感が実感でき、積極的に活動しようとする気持ちや、活動に協力し続ける意思が生まれると考えられる。また、活動体制について、結果で述べた5つの体制があると明らかになった。そういった活動体制が機能することで、担い手の固定化、後継者の育成困難や義務感・負担感があるといった担い手の課題の軽減につながると考えられる。以上のふれあいサロンにおける保健補導員の果たしている役割と活動体制を明らかにできたことは、ふれあいサロンの担い手確保の方策を検討する基礎資料となり得ると考えられる。

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