都市計画論文集
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駐車デポジットシステム(PDS)の効率性と公平性に関する分析
金森 亮山本 俊行森川 高行
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 44.3 巻 p. 115-120

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抄録

道路課金政策(ロードプライシング)は、海外の成功事例報告により、我が国でも再び注目されつつある交通施策である。課金を設定することで自動車削減効果が大きい反面、社会的受容性が低いため、実施まで辿り着かないことも多い。本研究では、既存アンケート調査で従来の課金システムと比べて受容性向上が確認された駐車デポジットシステム(PDS)を対象として、効率性・公平性の観点から分析を行い、特性を把握する。所得間の公平性を分析するため、個々人の時間価値分布を考慮できる評価モデルを構築し、名古屋都市圏に適用した結果、真の来訪者に対して返金を行うPDSは、コードン型では返金額が増加するに連れて効率性が低下し、公平性は改善する。一方、エリア型では課金額の半額程度を返金した方が効率性が高くなり、公平性も改善されることがわかった。PDSは、課金収入の即時的な再分配を行っているとも解釈でき、今後、効率性・受容性・公平性などの多視点からより適切な課金システムや再分配方法を検討し、急務の環境改善対策として道路課金政策の実施に向けた利害関係者との協議が望まれる。

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© 2009 公益社団法人 日本都市計画学会
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