抄録
日本を代表するアパレル小売業、ファーストリテイリング社が経営するユニクロの強みは、店頭から調達までの一貫したサプライチェーンにあり、その重要な部分を担うのが中国をはじめとする海外の縫製業者への生産委託による安価な製造コストである。このチャネルを選択しつつ、同社はその強みである高品質な商品を生産する仕組みを構築する一方、現地の労働問題等経営面でのリスクが発生するなど、企業間取引に関わる課題には対応はまだ確立していない。本稿では、この課題に対してCSR(企業の社会的責任)の視点からあるべき姿を描き、P2Mの手法を用いて対応策を検討した。その結果、プラットフォームの共有化と日常の運用を仕組み化することで、課題を克服できる可能性を指摘した。