国際P2M学会誌
Online ISSN : 2432-0374
IoTビジネスにおけるプログラムマネジメントへの取り組みの有効性
佐藤 達男
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2016 年 11 巻 1 号 p. 85-94

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抄録
近年、IoTというキーワードが注目されている。IoTは、センサーやデバイスの進歩によって、物と物、人と人、物と人がインターネットでつながり、相互に連携する仕組みである。自動車や家電などのハードウェアが組み込み型のコンピュータを介してインターネットにつながることによって、遠隔でモニタリングやコントロールしたり、そこから発生するセンサー・データや監視カメラの映像などの大規模データを解析することで、新たな製品やサービスを創出することも期待されている。IoTによって、暮らしやビジネスが大きく変わる可能性がある。ただし、この可能性を実現するためには、これまで接点がなかった異なる業種のビジネスや個別に存在していた技術を組み合わせて、新たなコンセプトを打ち出し、具体化し、新たな製品やサービスを創造するための仕組みが不可欠になってくる。P2Mは単一のプロジェクトでは解決できない多様で複雑な問題を解決するために、複数のプロジェクトを統合するプログラムマネジメント手法である。筆者はIoTのように変化が激しいビジネスにプログラムマネジメントを適用するために、アジャイル開発とP2Mを組み合わせた手法を提案している。本論では、IoTを活用したイノベーションとして世界的な潮流となっている製造業のデジタル化の代表例であるドイツのインダストリー4.0と、日本の製造業におけるIoTの取り組みであるインダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブの事例を用いてIoTビジネスへの取り組みにP2Mを適用することの有効性を議論する。
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© 2016 International Association of P2M and Authors
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