2015 年 9 巻 2 号 p. 1-18
ODA事業は受入国と支援国という社会経済的背景が異なる主体(国)が相互に連携・支援し、受入国にこれまでなかった価値を創造するとともに、その結果を受入国の持続的オペレーションにつなげることで社会経済状況の改善を意図するものである。そしてその実施環境はめまぐるしく変化する動的複雑性の中にある。本論文ではP2Mの手法を活用し、ODA事業を複数のシステム群が組み合わされた「異主体間の協働・支援による価値創造事業」としてモデル化する。そしてベトナムにおけるODA事業事例をこのモデルをもとに考察し、モデルの構造に起因するリスクと機会、より良い成果をあげるために必要となる条件及び望ましい協働と支援のあり方について考察する。まとめとして本論文で検討したモデルとその特性について、産官学連携事業などODA以外の事業での適用可能性を示唆する。