2011 年 5 巻 2 号 p. 75-87
本研究は、「なぜ、マス・カスタマイゼーション戦略を実施した企業が複数市場にて市場シェア獲得に苦戦し、低迷するのか」という問いのもと、顧客が求める製品機能や性能を満たすために用いられる技術知識に注目して、それが、特定市場の主要顧客との密接な取引関係を背景に形成、維持され、組織内部に製品の「機能的価値」のみならず暗黙的な「意味的価値」を提示することによって特定の製品開発手法を継続的に選択させることを示す。具体的には、欧州GSM市場における日韓の端末の開発競争を取り上げる。