国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要
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犯罪者更生と伝統工芸伝承の人材育成: 秋田県の矯正施設と更生保護の取り組みについて
寺野 摩弓
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 4 巻 p. 71-82

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抄録

本稿は 2015 年 6 月から 2016 年 3 月にかけて 「秋田における文化・芸術を通した犯罪者矯正・更生活動の可能性について」 という題目で行った研究活動の分析結果の一部を報告するものである。秋田県には伝統工芸品、民俗芸能などが継承されており、地域振興の重要な役割を担ってきた。しかしながら生活様式の変化による需要減少、流通の変化による安価な大量生産品の台頭、および少子高齢化による後継者不足、そして材料の調達困難さにより、これらの存続が危ぶまれている。本研究では、伝統工芸品や民族芸能の需要に対応する施策の一環としての犯罪者更生の取り組みについて考察するものである。秋田県内の矯正施設や更生保護関係者の聞き取りを通して現在の刑事政策の枠組みと実施状況について調査したところ、構造的・経済的・社会的な課題が明らかになった。今後は地域振興のための人材育成と文化芸術活動を用いた犯罪者矯正・更生には、行政機関や地域が協力し、政策的枠組みの構築と地域関係者が自主的に取り組みを形成してゆく等多角的な視点が有効と考えられた。

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© 2017 公立大学法人国際教養大学アジア地域研究連携機構
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