印度學佛教學研究
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チベット語訳『律経自註』の翻訳事情
米澤 嘉康
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2022 年 70 巻 3 号 p. 1185-1192

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抄録

 『律経(Vinayasūtra)』ならびに『律経自註(Vinayasūtravṛttiabhidhānasvavyākhyāna/ Māthurī Vinayasūtravṛtti)』は,カシミール出身のアランカーラデーヴァ(Alaṅkāradeva)とともに,ツルティム・チュンネー(Tshul khrims ’byung gnas/ インド名:シーラーカーラ Śīlākāra)によってチベット語に翻訳された.このチベット人翻訳者は,インド滞在中に,サンスクリット語写本の収集に努めたばかりでなく,チベット・ウメ字で『律経』写本の行間の注記や『律経自註』抄本を書写したようである.これらのウメ字写本資料から得られる情報と,チベット語訳『律経自註』奥書の記述にもとづき,本論文ではその翻訳事情の一端について考察を提示している.

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© 2022 日本印度学仏教学会
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