2013 年 14 巻 p. 19-29
下伊那郡高森町山吹地区には,木曽山脈の東斜面に扇状地が広がっている.西側は胡麻目川沿い周辺で境をなし,北側は松川町との境界付近を流れる境の沢川沿い周辺で境をなす三角形の扇状地である.扇状地の西側の境界は山の寺断層で仕切られている.そして,扇状地の北の境界が地表面での地形変化であるのか構造的な地形変位であるのかについて検討してきた結果,断層が発見された.したがって,この扇状地は2本の断層に挟まれ,地形的にみても地質構造的にみても伊那谷に存在する一般的な扇状地とは異なっていることがわかった.そこで,発見した断層の記載を行うとともに,この扇状地がどのような成り立ちをしているかについて考察する.