伊那谷自然史論集

長野県天然記念物,　中央構造線安康露頭における原岩の判定と地質境界断層の決定

河本和朗, 石川剛志, 松多範子, 廣野哲朗

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 1-17
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_1

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中央構造線は8000万年以上の活動史を持つ.現在の地表で見られる剪断帯の岩石は,深部から上昇を繰り返しながら,異なる深度で繰り返し剪断変形と変質を受けてきた.それらの断層岩の原岩と剪断変形・変質の履歴は活動史の解明の基礎的な情報になる.しかし剪断変形・変質した岩石は原岩と見かけが大きく異なり,薄片の偏光顕微鏡観察によっても原岩の判定が困難なものがある.今回,安康露頭内で見かけが類似する領域ごとに試料を採取して全岩化学分析を行った.薄片観察の結果と化学分析の結果を対比したところ,薄片観察で原岩を推定できた領域については両者の結果はよく一致した.また,強く変質して薄片観察では原岩を特定できなかった淡緑色の変質部は,全岩化学分析で領家帯の斑れい岩質組成であることが明らかになった.ただし薄片観察で淡緑色変質部東縁付近に三波川変成帯の石英片岩が確認され,その東側には断層を介して領家花崗岩類由来のマイロナイトが確認された.さらに東側には別の断層を介して三波川変成帯の泥質片岩が接している.ただしマイロナイトを含むブロックの両側の断層は露頭下部で収れんし,下部では緑色変質部と泥質片岩が接している.そこで緑色変質部東縁でスポット的に見つかった三波川石英片岩の分布と,化学分析で明らかになった領家斑れい岩質組成の部分との境界を明らかにすることが今後の課題である.

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松川町で発見した活断層と山吹扇状地の形成意義

坂本正夫

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 19-29
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_19

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下伊那郡高森町山吹地区には,木曽山脈の東斜面に扇状地が広がっている.西側は胡麻目川沿い周辺で境をなし,北側は松川町との境界付近を流れる境の沢川沿い周辺で境をなす三角形の扇状地である.扇状地の西側の境界は山の寺断層で仕切られている.そして,扇状地の北の境界が地表面での地形変化であるのか構造的な地形変位であるのかについて検討してきた結果,断層が発見された.したがって,この扇状地は2本の断層に挟まれ,地形的にみても地質構造的にみても伊那谷に存在する一般的な扇状地とは異なっていることがわかった.そこで,発見した断層の記載を行うとともに,この扇状地がどのような成り立ちをしているかについて考察する.

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下伊那郡豊丘村の地下水資源と自然史との関わり

富樫均

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 31-39
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_31

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豊丘村では上水道水源のほぼすべてを地下水に依存しており,3戸に1戸という高い割合で個人所有の井戸がある.そして,今なお簡易な横井戸が多数利用されていることが特徴である.同村の地下水資源は,伊那山地西麓の竜東丘陵において,伊那累層(帯水層)とミソベタ部層(難透水層)が介在する特異な地質構造に支配されている.そこには過去200万年に及ぶ赤石山地の隆起とそれに付随する竜東丘陵の傾動という地域固有の自然史と,長い間の人の暮らしとの歴史的な連結がある.この貴重な地下水資源を次世代に残すためには,自然の仕組みと自然史を理解するとともに,資源としての壊れやすさへの十分な配慮が必要である.

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木曽山脈天龍川流域の山地渓畔林の分布,　種組成と立地

深町篤子, 星野義延

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 41-51
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_41

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分布情報や種組成などの報告のほとんどない木曽山脈天龍川流域の山地渓畔林において, 生態学的な基礎的知見の蓄積を目的に調査を行った.　天龍川支流のうち,北は小沢川から南は黒川まで11河川を踏査し, このうちの5河川においてサワグルミやシオジが優占する14林分の渓畔林で植生調査を行い,種組成を明らかにした.　与田切川にはまとまった渓畔林の広がりが確認できたが, それ以外の支流で確認した渓畔林はいずれも小規模な林分であった.　調査林分の階層は4層からなることが多く, 高木層にはサワグルミ,　シオジ,　トチノキ,　カツラが,亜高木層や低木層にはアサノハカエデなどのカエデ類が, 草本層には大型シダ植物やミヤマタニソバやウワバミソウなどの小型草本がよく出現した.　構成種のうち常在度が高かった種は, オシダ,　イトマキイタヤ,　イワシロイノデ,　ニワトコであった.　種組成に基づいて調査地の渓畔林の植物社会学的な位置づけについて検討した結果, 調査地北部の小黒川ではヤマタイミンガサ-サワグルミ群集に, それ以外の支流にはシオジ-ミヤマクマワラビ群集に同定される林分の分布が認められた.　現時点では植食性動物の過剰な採食による林床植生の著しい変質はみられなかった.

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長野県南部地域でシラオイハコベの生育を確認

蛭間啓, 大鹿村の百年先を育む会

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 53-
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_53

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コカマキリ緑色型の記録

四方圭一郎

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 54-
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_54_1

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長野県伊那市におけるラミーカミキリの記録

中條隆

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 54-
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_54_2

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長野県飯島町でツチイナゴを確認

米山富和

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 55-
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_55_1

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長野県飯田市でのツバメチドリの観察記録

山田拓

原稿種別: 本文
2013 年 14 巻 p. 55-
発行日: 2013/03/31
公開日: 2019/06/05

DOIhttps://doi.org/10.20807/icmnhr.14.0_55_2

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