2015 年 11 巻 p. 13-24
わが国では、1985 年に電気通信事業法が施行され、電電公社による独占の廃止と市場原理の導入がはかられた。本稿では、わが国の電気通信市場に競争が導入されて以降、その時々に行われた実証分析を概観しながら、電気通信分野の自由化 30 年の振り返りを行っている。本稿は網羅的な先行研究のサーベイではないが、制度変更とその際の市場を捉えた実証分析を振り返ることで、わが国の電気通信市場の評価に実証分析が取り入れられ、より客観的な制度構築につながってきた歴史が明らかとなる。実証分析の系譜から見ても、わが国の電気通信市場が自由化 30 年を経て、NTT と他の競争事業者が一部を除いてある程度対等に競争する環境が整ってきていることが示される。