抄録
携帯電話役務の一~二年の定期契約に伴う解約金条項を無効と判断したカリフォルニア州控訴裁判所の判例を紹介する。同裁判所は先ず、本件の解約金条項が連邦通信法の専占する「料金」の回収を意図しておらず、顧客の解約(churn)を阻止する「抑止力」たることを意図していたこと等を理由に、州法が適用されると判断。その上で、解約金条項が州の消費者契約法に違反して無効と評価される理由を次のように示した。①顧客による中途解約で生じる損失額よりも予定損害賠償額が下回ったという「効果」だけでは有効と解されない。②解約金条項及びその金額を 決定・採用した当時の「動機・目的」(意図)が損害賠償を予定する理に適った努力を示しておらず、専ら顧客の解約率を低く抑える「抑止力」が意図されていたから無効である、と。
上記判例の紹介に併せて、「二年縛り+解約金」問題の理論的根拠を、アメリカの法律論文から簡潔に紹介している。