2003 年 1 巻 3 号 p. 160-169
体幹筋の筋緊張異常により右立脚相において体幹の前方への崩れを呈した脳血管障害片麻痺患者に対し,動作分析を基にした理学療法評価による問題点の抽出と表面筋電図学的評価による検討を実施した。これらにより抽出した体幹筋筋活動の問題点に対し,中枢神経系の姿勢制御と歩行制御の機能に着目した理学療法,座位時および歩行時の正常動作を用いた運動療法を施行した。治療開始15週後に再度,理学療法評価と表面筋電図学的評価を実施した。その結果,体幹の前方への崩れは認められず,体幹筋の筋活動はより健常者と同様の筋活動を示した。これらのことから,正常動作を基にした運動療法は脳血管障害片麻痺患者の体幹筋の筋緊張改善につながることが示唆された。