抄録
本論は「連続的な出来事」としての日常的行為、行動の蓄積を〈常習性の実践〉とし、日常における都市記述の実際に応用し、身体環境から考察するものである。その際、ロンドン中心部キングズクロスの小広場、コペンハーゲン中心部のクリスティアニア自治区、ロンドン北東部チャバド・センター周辺の街路、ロンドン中心部から北東部郊外にかけてのバス停留所を対象に、日常の活動、行動、近接、方向に着目し、ひとつの場所が持つ「連続的な出来事」を記録するという方法を用いた。その結果、(1)日常における活動類型の集積が場を性格づけている、(2)行動が時として都市の構造を顕在化する契機となっている、(3)近接が日々の行為、行動の反復性の強度、および場所性の階調を形成している、(4)近接による階調が場の方向を形成している、以上4点が明らかになった。つまり、日常の活動、行動、近接、方向の組み合わせは身体環境を構築し、ひとつの場を都市の一部として表象するといえるのである。