環境芸術
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風景の見せ方に関する考察 その2 : ノルウェー・フィヨルド海岸沿い"Nordland"地区の屋外彫刻作品群を通じて
山田 良
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2010 年 9 巻 p. 87-92

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抄録
ノルウェーの地域再生を目的としたプロジェクト群の考察を通じて、前稿では小建築による風景の見せ方における四つの手法を提示した。本稿では分析範囲をノルウェー・フィヨルド海岸沿いNordland地区の屋外彫刻作品群を考察する。屋外彫刻作品群による風景の見せ方を分析し類型化することで、風景を再評価するための屋外彫刻における造形手法と可能性を示すものである。彫刻作品を媒体として風景に視線を向ける手法として、(1)焦点のフレーミング、(2)肌理のコントラスト、(3)マテリアルの変化、(4)スケールのコントラスト、(5)人体像による喚起という五つの類型を示すに至った。地域の資源を再評価しようという試みが唱えられるなか、風景を見せる造形手法を類型化し示すことは、屋外彫刻作品が作品の規模やコスト・素材に関わらず地域の付加価値を高め自然環境の再生に貢献できる可能性と方法を示唆するものといえる。
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© 2010 環境芸術学会
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