1929 年 49 巻 491 号 p. 647-665
本論文は昭和三年七月より同四年一月まで東京代々幡間の地下ケーブルに就いて測定せるものにして、各關係電車より漏洩し來る電流を各關係電車について分拆的に負荷電流を一定にせる場合等に就いてそのデータを得、殊に京王電車については變電所に於て極を反對にし、或は變更負荷をかけて地下電話ケーブル鉛被を流るゝ電流を測定し、電蝕をうけつゝある箇所に排流亞鉛板を埋設し、ケーブル鉛被電流大にして相當流出しあり將來危險の虞れある箇所のケーブル鉛被の絶緑接續をすべき個所を發見したり。
元來漏洩電流は地下埋設工作物、河川,軌條等の配置、並に土質水質により思ひもよらざる方向に流るゝ事あり。こゝに示せる新宿附近はその主なるものとも言ふべく、漏洩電流の通路の奇なるを探究する方法等にも言及せり。