抄録
CRTカラーディスプレイによって色刺激を呈示し,被験者を含む空間の照度を変化させ,見えのモードと色刺激の明るさ効率との関係を検討した.
実験1では,ブース内照度を変化させ,一定輝度の呈示色刺激の見えが表面色モードから開口色モードへ変化する閾値および各色刺激の表面色モードにおける明るさ効率(B/L比)を求めた.光源には3波長域発光形昼光色蛍光ランプを用いた.
実験2では,光源を3波長域発光形電球色蛍光ランプとし,実験1と同様の装置および手順を用いてモード変化の閾値を求めた.
実験1の結果から呈示色刺激に対するモード変化の閾値とB/L比との相関係数を求めたところ,強い相関が認められた.これは,呈示色刺激の輝度を一定に保ち,空間の照度を変化させた場合においても,色刺激の見えのモードは,呈示刺激と周辺の明るさの比で決まることを示している.実験2で求めたモード変化の閾値は,実験1の結果に比較して,黄色相の刺激に対して低く,青色相の刺激に対して高くなる傾向が認められた.これは,照明光に対する色順応による錐体感度特性の変化の影響と考えられる.