抄録
広域施設敷地域(学校,病院,工場など)内の街路は常に安全性並びに快適性を確保せねばならない。しかし、現状では夜間での街路照明(ここでは防犯灯とする)による夜間照度の状況は十分とは言えない。ここでは広域敷地域での防犯灯設置環境と夜間照度状況を調査・観測し、解析・評価を目的とし、その一例として三重大学学舎敷地域での防犯灯の環境要因と夜間照度の調査・観測を実施した。調査区‘三重大学敷地域’内の最小(単位)調査域‘スパン(防犯灯器具直下を両端とする夜間照度の調査・観測域)’での夜間時における照度と目視によって、‘スパン’を4グループ!)明るい[型:L],やや暗い[L(D)],やや明るい[D(L)],暗い[D] ‘スパン’!) に類別できた。それら4類別‘スパン’の平均照度はEhAm(水平面照度の修正算術平均)値の算術平均によってえられた。防犯灯の設置主要光源類別スパンすべてにおいて高圧水銀ランプであった。L型スパンの平均EhAmは、環境要因(‘屋外照明’,‘防犯灯の保守管理不良’,‘街路・庭の高木’)の影響で6.82 lxに、いっぽう、D型スパンでのその値は‘街路・庭の高木’,‘防犯灯の保守管理不良’,‘屋外照明’によって2.34 lxになった。‘街路・庭の高木’,‘防犯灯の保守管理不良’が改善すれば、L型・D型スパンともにEhAm値が高くなりうることが判明した。L(D)型D(L)型スパンは多くの環境要因(‘屋外照明’,‘屋内照明’,‘自動販売機照明’と‘街路・庭の高木’,‘防犯灯の保守管理不良’,‘特殊遮光物’,‘駐車車両’)によって夜間時での‘スパン内の明るさ’に‘不均斉’が生じた。そのため、安全性・快適性が損なわれている。