抄録
EvansのG0輝度における各スペクトル光の知覚明度推定値を,Helmholtz-Kohlrausch効果のVCC法簡易予測式を用いて計算したところ,G0点におけるスペクトル光の輝度は,波長によって大きく変動しているにもかかわらず,その知覚明度は,波長によらず,ほぼ一定であった。これは,G0輝度の決定手続きにおいて,明るさ評価は全くしていないが,G0点が,近似的に等知覚明度条件になっていることを示す。さらに,知覚明度予測式のVCC法(直接比較法による明るさ評価)がスペクトル領域においても有効であることを示すものである。一般的に,直接比較法による有彩色同士の明るさマッチングは,明確な判断基準が存在しないため,その評価が難しく,高クロマになるほど,得られる結果も変動が大きく再現性が悪い。一方,EvansのG0輝度は,心理物理量であり,判断基準も明快であるため,判断誤差は,交照法とおなじく色差弁別誤差程度に小さいと考えられる。