抄録
多彩な光が照明光として手軽に利用できる今日、光の色に関する秩序ある視環境計画の方針を示すことが安全性・快適性の高い生活環境を維持する上に重要である。そのため、先行研究として有彩色光下での視力や色判別、印象について検討を行い、引き続き本報において、生理量および疲労感への影響を検討する。
白光35 lx(初期条件)に10分順応後、色光1.0 lxまたは1200lxに60分間暴露する。設定色光は青、緑、黄、赤、白の5色、被験者は青年女子8名である。安静椅子座位で、皮膚温・心拍・脳波を継続測定、血圧・心拍数は10分毎に測定し、α波捕捉のため10分毎に2分間閉眼した。検査用唾液採取と印象・疲労感評価を色光暴露前後に行った。
個人差が大きく、必ずしも有意差が確認されたわけではないが、各測定項目において認められた現象を総合すると、以下のようにまとめられる。青光は沈静に作用し、高照度では次第に印象が低下し集中力が減退したような感じを受ける。緑光は時間とともに比較的印象が良くなり、ストレスが少ない。黄光は特に緊張や興奮はしないが、リラックスもしていない。赤光は低照度ではやや緊張・興奮が高まり、眼が疲れたように感じる。白光には他の色光に較べて目立った特長は認められていない。