主催: 社団法人 照明学会
本研究は既に提案されている体内時計の光受容機構モデルを実際の光環境制御技術に実用化できる可能性を明らかにすることを目的として、被験者を用いた光照射実験を行った。被験者は、種々の光色のLEDを内蔵した照明ボックスをのぞき込み、奥の壁面にある開口部からDVDを鑑賞する。その間、LEDの照明光が被験者の網膜に照射される。被験者は、体温測定と唾液採取を30分おきに行った。実験後、唾液中のメラトニン濃度を解析した。実験の結果、日常生活に近い条件下でも、体温とメラトニン濃度に共通して、青色による作用が最も大きく、青色に黄色を加えると作用が低下するという傾向が明らかになった。体温やメラトニンが覚醒度と関連することから、実環境において光源の分光分布を制御することにより夜間の覚醒レベルを調節でき、光環境制御技術に応用できる可能性を見出した。