全人的医療
Online ISSN : 2434-687X
Print ISSN : 1341-7150
原著
ロゴセラピーによる痛みのコントロールと音楽療法が与える影響
ハラルド モリイ
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2014 年 13 巻 1 号 p. 46-66

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抄録

痛みは生命にとって必要かつ重要なサインであり,人間の命を守るために欠かせないものである.私たちの体のシステムが正しく機能していれば,通常,日常生活で痛みを感じることはない.痛みのもつ「意味」はその機能の中に見られる.すなわち,体に,その人に,体のシステムのうちの何かがうまく機能していないことを知らせることである.また,強迫性障害や抑うつといった精神障害によって引き起こされる痛みは,治療を受け,生き方を変えることの必要性を示している.痛みの知覚は,免疫学的レベル,そして患者がさらされているストレスのレベルによる.

ヴィクトール・E・フランクルの研究によって,また,現代精神神経免疫学の観点から,私たちは,痛みの知覚は運命に対する内的態度を変え,催眠術,瞑想,芸術療法のみならず音楽療法を(もちろん,医学的,薬学的治療に加えて,必要であれば)用いることにより,心理的な側面からコントロールすることができるという確信を深めている.

ロゴセラピーは,痛みに苦しむ患者たちが痛みの強さと量をコントロールする方法を学ぶことを手助けするために介入するときの武器である.音楽療法は精神の抵抗力(VEフランクル)を引き出し,患者の内的潜在能力を活性化させ,その人の健康状態に影響を与えるための,とても有用な増幅器となりうると考える.

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© 2014 公益財団法人 国際全人医療研究所
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