全人的医療
Online ISSN : 2434-687X
Print ISSN : 1341-7150
原著
火を使わない灸の臨床的効果
―慢性疼痛治療への可能性―
志和 悟子永田 勝太郎杉岡 哲也大槻 千佳廣門 靖正村尾 佳美吉田 麻吏高橋 和矢野垣 健伊藤 千鶴大塚 理紗
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2021 年 19 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

【目的】鍼灸は,古い歴史のある鎮痛方法である.一口に鍼灸と言うことが多いが,一般的には鍼が瀉法であるのに対し,灸は補法であり,その適応は異なる.また,鍼は比較的よく用いられるが,灸はそれほど多く用いられてはいない.それは,火を用いることによる火傷の心配があるという点が一因といえる.今回,温度が50℃までしか上がらず,火傷という危険性が少ない灸(「ほっとQ™」)を開発し,その効果について検討した.

【方法】鍼灸医学研究会会員の所属する診療所,鍼灸院における愁訴(主に疼痛)を有した患者を対象とした.n=14.1週間に3回の施灸を4週間(全12回)試行し,その前後で瘀血スコア(寺澤),血液検査,血行動態,疼痛VASを検討した.

【結果】前後で比較し,瘀血スコア,疼痛VASが改善し,臥位の拡張期血圧が有意に低下した.悪化項目はなかった.火傷例もなかった.

【考察】火傷はなく,血液検査からも安全であると考えられた.瘀血スコアの改善,疼痛VASの軽減,臥位拡張期血圧の改善が観られた.灸には,鎮痛作用,弛緩効果(リラクセーション効果),駆瘀血作用があると考えられ,鎮痛医療に有効な方法と考えられた.自宅でできる,一人でもできることから,疼痛に対してセルフコントロールの方法になりうると考えられた.

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© 2021 公益財団法人 国際全人医療研究所
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