全人的医療
Online ISSN : 2434-687X
Print ISSN : 1341-7150
WHOレクチャーシリーズ
健康創成論から見たBalint療法
―患者力の向上のために―
喜山 克彦志田 直樹杉山 和成加藤 晃己
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2021 年 19 巻 1 号 p. 56-68

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抄録

Michael Balintは,全人的医療の目的を「患者の自己理解を可能にさせ,直面している問題のよりよい解決方法を見いださせ,患者の環境との関係障害を統合させること」と述べた.彼は,患者や医師の特性や医師―患者関係をユニークな言葉で表現した.一方,Aaron Antonovskyは健康創成論において,人生のどのステージにおいても相対的健康を創成するには,コヒアランス感(SOC)が重要であると説く.SOCは理解能力,管理能力,意義深さの3要素から構成されている.患者が,患者力を向上させることにより,医療社会がどのようであっても,自身の相対的健康を創成できると考える.そのためには,まず患者が自分を取り巻く医療社会,特に医師の特性と医師―患者関係を理解できることが重要である.Michael Balintのユニークな言葉を利用することは相対的健康の創成,すなわちSOC向上の一助になると考える.

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© 2021 公益財団法人 国際全人医療研究所
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