抄録
明度変動に対してロバストな画像照合のための基本となる類似度の評価量として,順位相関係数について基本特性を検討する.続いて,それに基づいて遮蔽にもロバスト性をもつ画像照合法として標本化順位相関法を提案する.順位相関係数は明度値の順位の類似を評価する評価量であり,陰影や照明変動などに起因する明度変化に対して強いロバスト性をもつ統計量である.一方,標本化順位相関法はテンプレート画像を分割・標本化して順位相関係数を求め,中央値評価を組み合わせる評価量である.これに基づく照合アルゴリズムは,順位相関係数や現在最もよく使われている正規化相関では困難であるような複雑情景においても,遮蔽や明度の不良条件に対してロバストである.実画像などを用いて提案手法が有効であり充分な照合精度をもつことを示す.