画像電子学会誌
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最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
随想
祝辞
ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • 鈴木 龍, 藤澤 誠, 三河 正彦
    2023 年 52 巻 4 号 p. 500-506
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    本論文では,GPUによる並列計算に適した応力ベースの弾性体破壊シミュレーション手法を提案する.弾性体のシミュレーションを行うための位置ベース法(Position Based Dynamics),メッシュレスな応力計算手法,サーフェルと亀裂先端モデルによる亀裂進展及び破断面生成手法の3つを統合することで,動的かつ柔軟な破断面の生成を高速に処理することができる.これにより,従来の破壊シミュレーションが持つ,計算コストと亀裂形状の表現力のトレードオフの関係を解決する.また,提案手法をCompute Shaderを用いて実装し,GPUを用いた実験により,詳細な破断面表現とリアルタイム処理の両立が可能であることを検証した.

  • 上中 喜生, 檜垣 徹, Bisser RAYTCHEV, 金田 和文
    2023 年 52 巻 4 号 p. 507-515
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    シャボン玉などで観察される薄膜干渉は光の波としての性質により生じる光学現象で,コンピュータグラフィックス(CG)で正確に表示するにはスペクトラルレンダリングと分光反射モデルが必要である.特に,幅広い材質に対応することは重要で,表面粗さを考慮した分光反射モデルが既に提案されている.しかし,既存のモデルでは微小面間で生じる多重散乱が考慮されておらず,粗い物体表面ではエネルギーの損失が生じる.本研究では,多重散乱を考慮した薄膜干渉の分光反射モデルを提案する.提案手法では物体表面がV字型の微小面から構成されると仮定し,多重散乱を考慮した反射モデルと,干渉と光の吸収を考慮した多層膜モデルを統合することで,薄膜干渉と多重散乱の両方を考慮する.そして,提案手法では粗い物体表面に関して薄膜干渉をより物理的に正しくレンダリングできることを示す.

  • 刈込 喜大, 古屋 貴彦, 大渕 竜太郎
    2023 年 52 巻 4 号 p. 516-526
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    3次元(3D)点群は,3DセンサやCADモデルから得られる3D形状の表現である.3D点群の高精度な解析は,3Dモデルの効果的な再利用,自動運転,ロボットのナビゲーションなどのアプリケーションシナリオで要求される.これらの3D点群の向きは不揃いであるため,多くの現実のアプリケーションでは3D形状の回転(向き)への頑強性が要求される.近年の3D点群解析の主流は深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いた手法である.しかし,これら既存のDNNの多くは3軸周りの回転への頑強性を持たない.本研究では回転不変な3D形状解析DNNを提案し評価する.このDNNは,Local Reference Frameを用いた局所形状の回転正規化により回転不変性を獲得し,自己注意機構によって入力データ適応的に特徴を抽出する.3D点群形状の識別とセグメンテーションで評価した結果,提案手法は3軸周り回転の影響を受けず,かつ既存手法を上回る精度を得た.

ショートペーパー
  • 西野 駿佑, 数藤 恭子
    2023 年 52 巻 4 号 p. 527-530
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    スマートフォン上のアプリケーションやIoT技術の高度化が著しく,深層学習技術も多く取り入れられている.しかし,膨大な数のパラメータを持つモデルは,計算時のメモリ容量や電力の観点から,エッジデバイスへの搭載は困難である.学習済みモデルのアーキテクチャを近似し軽量化することで,メモリやディスク容量が制限された小型端末内での動作が可能になり,応用範囲が拡大すると考えられる.本研究では,従来から知られているパラメータ削減手法のプルーニングや量子化と,線形演算の行列分解による計算削減を組み合わせる方法を提案する.行列分解の対象は線形演算の重み行列であることから,近年の画像認識モデルの1つであり,全結合層のパラメータが大部分を占めるVision Transformerに適用し,効果を検証する.実験により,各層の出力ベクトルの要素の符号の比率を指標としてプルーニングを適用する層選択することで,CIFAR10の学習済みモデルのパラメータを元の6割程度まで削減しても同等の識別精度を保つことを確認した.

  • 南里 絢花, 志久 修, 手島 裕詞, 兼田 一幸
    2023 年 52 巻 4 号 p. 531-538
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    魚市場では水揚げされた魚を手作業で魚種ごとに大きさ別に選別している.選別作業は重労働のため自動化が求められている.本論文では,コンベアで流れてくるアジとサバの3次元形状を点群で表し,点群の分類モデルであるPointNetを用いて認識する方法を提案する.具体的には,コンベアに置かれた魚を真上(Z軸)から撮影した場合,魚の回転がZ軸周りのみになると仮定し,点群の回転正規化をZ軸周りのみに制限したPointNetを提案する.実魚を用いた実験により次のことを明らかにした.(1) 提案法による点の数と正解率,認識時間の関係を調べた結果,点の数を128点とした場合に最も認識性能が高くなる.(2) 本来のPointNetと比較した結果,静止させた魚100匹,コンベアで移動させた魚308匹のどちらに対しても提案法のほうが高い正解率が得られる.(3) 画像分類モデルResNet-50を使って点群と同時に取得したカラー画像,デプス画像から魚種を認識する方法と比較した結果,点群を用いる提案法の正解率は,カラー画像とデプス画像をそれぞれ用いた方法と同程度またはそれ以上である.

一般論文
  • 岩下 晋治, 常盤 公德, 福 江 潔也, 長幸 平
    2023 年 52 巻 4 号 p. 539-547
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    筆跡鑑定などにおける筆者識別では,筆者内・間変動(筆者個人のゆらぎと筆者個性)の把握が最大の課題となっている.本研究では,筆跡中の各部位における筆者内・間変動が,ごく簡単な方法で計測可能なことを示し,漢字6文字・ひらがな5文字・カタカナ5文字・数字10文字に対する実験により各文字の全字画に沿った各部位における筆者内・間変動分布を定量的に明示する.さらに,筆者異同識別において識別に重要な部位の探索方法を提案するとともに,上記26文字については,それがどこであるかを明らかにする.

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